英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームが、白髪のきっかけになる遺伝子「URF4」を初めて特定した。大半の人は年をとれば髪が白くなるものだが、この遺伝子の働きを止めることで、白髪になるのを遅らせたり防いだりする新手法を開発できるかもしれないという。
研究チームは中南米に住み多様な祖先を持つボランティア6000人以上のDNAを解析した。UCLのカスーブ・アディカリ博士(細胞・発生生物学)によると、IRF4には2種類の変異体があり、1つは世界共通で、もう1つは欧州だけに存在する。「欧州限定の変異体を持つ場合、白髪になる確率はほぼ2倍になる」という。
IRF4は、髪の毛などの色を決定づけるメラニン色素の作用に影響する。当然ながら、実際に白髪になるかどうかは、年齢や環境によっても左右される。UCLのアンドレス・ルイスリナレス教授(生物科学)は「遺伝子の働きを止めるのはもちろん可能だが、問題は期待通りの効果があるのか、そしてそうする権利があるのかという点だ」と述べている。
朗報かどうかはその人次第
今回の研究結果は、白髪を避けたい人には朗報かもしれない。だが、ロンドンのあるマーケットでは、白髪賛成派が大多数だ。買い物に来たある男性は「白髪だろうがそうでなかろうが、全く気にしない」と語り、女性の買い物客も「自然のままが一番よ」と言う。露天商2人も白髪について「トレンディだよ。人に好かれる」「賢そうに見えるよ」などと肯定的だ。
IRF4遺伝子の作用を止める美容術を編み出すには、あと数年間はリサーチを続ける必要がある。だが、白髪から永久に逃れたいと切望する人の願いは、いつの日か叶えられるかもしれない。